こんにちは。きよなり社会保険労務士事務所の坂戸です。




みなさん、労災(ロウサイ)ってご存知でしょうか。
労働者災害補償保険法というもので、職場でケガをしてしまった…などのときに労働者側が保険給付を受けられるような規定を定めている法律です。




先日、社労士試験の労働者災害補償保険法の過去問を見ていると、目に留まった問題がありましたのでご紹介したいと思います。

 




“A会社の大型トラックを運転して会社の荷物を運んでいた労働者Bは、Cの運転するD会社のトラックと出会ったが、道路の幅が狭くトラックの擦れ違いが不可能であったため、D会社のトラックはその後方の待機所へ後退するため約20mバックしたところで停止し、徐行に相当困難な様子であった。これを見かねたBが、Cに代わって運転台に乗り、後退しようとしたが運転を誤り、道路か断崖を墜落し即死した場合、業務上として取り扱われるか”

というものでした。




業務災害として認定されるためには、業務起因性と業務遂行性の二つを満足する必要があります。業務遂行性とは「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態、すなわち、事業主の指揮命令に基づいて労働を提供している状態」のことで、この過程で生じた災害は業務遂行性があると認められます。また、業務起因性とは、業務遂行性があり、かつ労務の遂行に伴う危険が現実化したものをいい、業務と災害との間に一定の因果関係があることをいいます。

 




この場合、他の会社の運転手に替わってまで、トラックを回避させる作業は誰からも頼まれたものでもないが、回避させないと自社のトラックが進行できない、すなわち業務遂行に支障をきたすのであるから、この運転を代わって行なった行為を個人的、恣意的だと言い切れない。また、運転を誤ったのも故意にやったものとは認められないため業務上となるそうです。


通達も出ておりました。(昭31.3.31基収5597号)


 

ただただ業務中に起こったものがそのまま業務災害として取り扱われるのではないのだなぁと実感。

こういった保険給付が出るのも、会社が労災保険に加入しているからで、労働者を守る法律だと痛感しました。