こんにちは。社会保険労務士法人KESERAの原田です。

もうすぐ10月になりますが、福岡ではやっと朝や夜に秋の気配を感じるようになりました。

今年は秋が短く、あっという間に冬の寒さがやってくるそうなので体調を崩さないよう体力づくりなどできるといいなと思っています。

 

さて、202410月より社会保険の適用条件が拡大となります。

条件を満たす事業所は、加入基準を満たしたパート・アルバイト従業員の方にも社会保険に加入させなければなりません。

「副業先で社会保険に加入になったらどうなりますか?」

「勤務先が適用拡大の対象のようだが、今後も社会保険に加入したくない場合はどうしたらいいですか?」

など、お問合せいただくことも増えてきました。

特に感じるのが、ダブルワークをしている方からの副業先での社会保険加入についてのお問合せです。

 

今回は、これによる手続きとともに、社会保険加入に伴うメリット、デメリットを確認していきたいと思います。

 

〇両方で加入する場合

勤務先が複数ある場合、双方で以下の加入条件を満たす場合は、両方で社会保険に加入することとなります。

その場合は、「二以上勤務届」という届出が必要となります(制度としては本人が提出するものです)。

 

【社会保険加入の条件】

・フルタイムで勤務している

・週の所定時間フルタイム(正社員)の4分の3以上

・月の労働日数がフルタイム(正社員)の4分の3以上

※勤務先で役員報酬を受けている場合は、社会保険加入対象となります。

 

副業先がパートやアルバイトとして勤務している(所定労働時間がフルタイムの4分の3未満)場合は、以下のすべてを満たす場合は社会保険に加入することとなります。

ダブルワークがパートの掛け持ち、アルバイトの掛け持ちの場合も同様です。

 

・週の労働時間が20時間以上であること

・月収が88,000円以上(年収106万円以上)であること

2カ月を超える雇用の見込みがある

・学生ではないこと

・勤務先の従業員が101人以上

 

最後の条件の「勤務先の従業員数」が202410月から適用拡大され、従業員数が51人以上の企業も対象となります。

これにより、社会保険に新たに加入する従業員が出てくる事業所が増えてくることと予想されます。

 

なお、従業員数とは?と思われると思いますが、厚労省HPによると

「従業員数」は、厚生年金保険の被保険者数のことを指します。 

とのことです。社会保険に加入している従業員数ということになりますね。

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/koujirei/jigyonushi/taisho/#:~:

 

〇片方のみで加入する場合

例)

Aで正社員(週40時間)として勤務し、Bで週10時間程度のパートとして勤務

 →Aでのみ社会保険の加入対象となります。

②Aで週15時間のアルバイトとして勤務、Bで週30時間のパートとして勤務

 →Bでのみ社会保険の加入対象となります。

 

片方だけで加入している場合は、もう一方の労働時間や収入額が増えた場合は注意が必要です。

 

〇両方の勤務先で社会保険に加入となった場合

社会保険料はそれぞれの勤務先での収入を合算して計算されます。

 

Aで10万円、B14万円の収入がある場合、標準報酬月額は24万円となります。

各事業所での保険料は按分計算となります。

A:24万円×保険料率×10万円/24万円

B:24万円×保険料率×14万円/24万円

 

また、同時に複数の適用事業所に使用される場合に「健康保険 厚生年金保険被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。

・どちらを選択事業所にするか(保険証は選択事業所での発行となります)

・それぞれの勤務先の情報

・それぞれの資格取得年月日

・それぞれの報酬月額

などの報告をしなければなりません。

※原則、本人からの申請となっているため本人の住所、氏名、電話番号の記載欄があります。

 

〇社会保険加入のメリット

・将来受け取れる年金額が増える

・傷病手当金、出産手当金等の給付がある

・扶養家族を被扶養者として加入することができる

 

〇社会保険加入のデメリット

・社会保険料の増加により、勤務時間を変えない場合は手取り額が減少する

・ダブルワークがもう一方の会社に知られる可能性がある

 

ダブルワークで社会保険に二重加入することは、将来のことを考えてメリットととるか、

現状での手取りや勤務時間(簡単に増やすこともできない方も多くいると思います)を考えデメリットととるか、

自身の就労状況や収入に応じて最適な選択は何か考えることが必要となりますね。

 

なお、事業所へは適用拡大の対象事業所へは通知も来ているので、最新の制度について確認し、従業員への周知徹底を行っていくことも大切です。