こんにちは。社会保険労務士法人KESERAの原田です。
9月も終わりに近づき、厳しい暑さもだんだんと影を潜め、少しずつ秋めいた気候を感じる日も出てきました。
さて、10月より令和4年度地域別最低賃金の改定となります。
福岡県の地域別最低賃金額は 900円(+30円)、令和4年10月8日発効です。
なお、
佐賀県は853円(+32円)、令和4年10月2日発効、
山口県は888円(+31円)、令和4年10月13日発効
大阪府は1023円(+31円)、令和4年10月1日発効
東京都は1072円(+31円)、令和4年10月1日発効
となっています。
最低賃金の改定に伴い、労働者を雇用している方や給与計算を仕事としている方は、従業員の給与が最低賃金を割っていないか予め確認することが必要です。
もし最低賃金を満たしていないことが判明したら、給与の改定が必要となります。
今回のブログでは、最賃割れの確認手順や注意事項について振り返りたいと思います。
(1) 時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2) 日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給≧最低賃金額(日額)
となります。
(3) 月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した
総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。
(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、
それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm
ちなみに、最低賃金の対象となる賃金というのは、支払うすべての給与が対象になるわけではありません。
実際に支払われる賃金から一部の賃金を除いたものが対象となります。
【最低賃金の対象とならない賃金】
・結婚手当 など(臨時に支払われる賃金)
・賞与など(1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金)
・時間外割増賃金(所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金)
なお、固定残業代も同様で、月給に固定残業代が含まれる場合は除いた月給を時間給換算し、最低賃金と比較しなければなりません。
・休日割増賃金など(所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金)
・深夜割増賃金など(午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分)
・精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
【最低賃金の対象となる賃金】
・役職手当
・職務手当
・職能手当
・住宅手当
・資格手当
ただし、実態に即して判断します。
例1:固定残業代を役職手当として支給
→実態が固定残業代になるので、含めない。
例2:家族手当としてすべての労働者に一律支給
実態が家族の人数によって変動するものではないので、含める。
社会保険労務士法人など、いくつもの事業所の給与計算等を行うところは、事業所の実態により手当の内容や所定労働時間も様々なので、
毎年の作業にはなりますが、しっかりと把握して確認していきたいと思います。