こんにちは。きよなり社会保険労務士事務所の原田です。
タイトルはつい最近気になって読んだ本のタイトルです。
主人公は50代の共働き夫婦で、1,200万円の貯蓄で老後を心配しているところに降りかかってきた危機を描いた小説です。
大学まで出したもののバイトで生活する娘が600万円もの派手婚をすることに始まり、老舗和菓子屋を経営していた夫の父親の葬儀問題、豪華なケアハウスに残された姑への仕送り、そして夫婦揃ってリストラに遭う、というなんともサバイバル感たっぷりです。
夫と妻の金銭感覚の違い、子供や親兄弟との関係、介護問題など様々な「あるある」が盛り込まれています。
医療制度の発達に伴い平均寿命が長くなり、今や4人に1人は65歳以上と少子高齢化社会となっています。
自分自身が65歳になる時には社会はどうなっているのか、と不安になる時もあります。
とはいえ40代以下の世代では老後の資金として年金にあまり期待を持たない考えが浸透している気もします。
今の60代以上はなんとか今までの年金制度に入り込めていますが、50代は年金の支給開始年齢や制度も変わって、思い描いていた老後に一番不安を感じている世代だと思います。
小説の中では行方不明になった親、亡くなった親の年金を受給するために、友人に自分の義母をレンタルして役所の調査をくぐり抜けようとするなんて事件も描かれていました。
そんな年金ですが、平成29年8月より受給するのに必要な期間が25年から10年へと短縮されました。
つまり保険料を納付したとみなされる期間が10年あれば年金がもらえるようになったということになります。
今までは25年ないと貰えなかったため、老後に年金をもらえない人も多くいました。消費税を10%に増税することと連携して社会保障と税の一体改革が行われました。
消費税増税は2度見送られてきましたが、年金の方は先行して行われました。
「10年年金」になったとはいえ年金をもらえる権利を得ただけなので、保険料を納めた月数が多ければ多いほど年金額は多くなるシステムは変わっていません。
国民年金を10年納付しただけだと、年額20万程度の年金額にしかなりません。
いろいろ考えると先行きどんよりしてしまいますが、老後の資金を考えるとともに、老いるということ、人との関わり方、自分らしく生きることなどをじっくり考えさせられる小説でした。