こんにちは。社会保険労務士法人KESERAの宮崎です。

まだまだ寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

 

近年では労働人口の不足から、外国人の雇用増加や定年延長による高年齢者の就業を踏まえた制度改正がなされています。

今回は202541日より改正される高年齢雇用継続給付の制度についてお話ししたいと思います。

 

現行の制度では高年齢者の60歳〜65歳までの賃金が60歳到達時の75%未満になった場合、低下した割合に応じて被保険者に支給されます。最大で賃金の15%です。60歳になると雇用形態が変わり、給与が減額される企業は珍しくありません。

 

そして、2025年4月以降、高年齢者雇用継続給付の最大給付率が15%から10%に引き下げられることになりました。制度創設当時は最大で25%支給されていましたが、段階的に縮小されています。縮小されるだけでなく、将来的に制度自体が廃止されることが既に決まっています。

雇用保険による支援に頼らない、安定した高年齢者の雇用が必須になってきます。

 

高年齢雇用継続給付金は、もともと高齢者の失業を防ぐために雇用継続の援助または雇用継続を促進するための給付として設けられた制度です。しかし、労働人口の減少と高齢化社会に伴い2013年の「高年齢者雇用安定法」の改正を機に、高齢者の就労環境の整備が進められてきました。

 

例えば、この高年齢者雇用安定法により「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置が企業に義務付けられました。さらには、20214月からは努力義務として就労年齢を70歳まで引き上げる「改正高年齢者雇用安定法」も施行されています。

 

こうした法律の整備により、高年齢雇用継続給付金の制度が創設された時に比べ、65歳以上の高年齢者でも働ける環境が整ってききています。この様に高年齢者の雇用に関する法改正の積み重ねにより高年齢雇用継続給付金も不要と考えられ、給付の縮小と段階的な廃止の決定がされました。

 

高年齢雇用継続給付の縮小は、65歳以上の高年齢者を多く雇用する企業ほど大きな影響があります。こうした企業では、高年齢者の雇用を見直し、給付がなくとも働き続けられる環境や、雇用の在り方を考えていく必要があります。